出るな行くな、来るな。コロナ禍、インフルエンザも心配されるこの季節、申し訳ないけれど自粛疲れ。「GoTo」に急かされて羽田空港から秋田空港に飛んだ。今回は４泊、五能線から三陸鉄道を巡る計画を立てた。秋田駅で「フリー切符」を購入、「リゾートしらかみ（青池号）」の指定券はネットで事前手配した。列車はスカスカ、ガラガラの貸切状態。日本海をなめるように絶景を魅せる車両、下車したのは「十二湖」駅。

今夜の宿泊先は「汐ケ島」。駅には民宿のオヤジが出迎え、周辺の名所景色を車で案内してくれた。この場所を1日目の宿としたのは「十二湖」観光のためだった。部屋はバス・トイレは共同の6畳。ま、至ってフツウだったが、食事メニューの多さにたまげた。ま、料金も高めだったが刺身、煮魚、貝や海藻、煮物やらがあっち、こっちに並んだ。箸が止まらず、完全に晩酌を妨害された感じに。もちろん朝メシも小皿がズラリ。満腹、降参です。

目的の十二湖、メインイベントは青色に染めらた神秘の「青池」。ありがたいことに民宿のオヤジがその近くまで車で送ってくれた。自分は正直、「沸壺の池」に軍配をあげたい。湧水は名水の誉、もちろんペットボトルでお持ち帰り、水割り目的？本数の少ない路線バスで十二湖駅へ戻り、10時28分のリゾートしらかみで五所川原を目指した。

五所川原から太宰治の金木駅へ。その前、待ち時間を利用してご当地観光で外すことが出来ない「立佞武多（たちねぷた）」の見物だ。軽い気持ちで入ったその会館、地上4階に伸びるそのデカさと異彩を放つ作りものにすっかり魅了された。例年ならばこれらが8月、五所川原の街に繰り出すというが、今年は残念。今度はナマでその勇姿を拝みたいものだ。

さてと津軽鉄道、ストーブ列車は有名だが雪の無い、この時期はのんびり渋いローカル鉄道。文学とは縁のない自分、太宰は遠い存在。むしろ「おら東京サ行くだ」の吉幾三の故郷見たさに比重がある。ローカル色たっぷりの金木、町のシンボル「斜陽館」は太宰の生家。青森でも屈指の金持ち、太い梁に多くの間取り、豪邸だった。ネクラな物書き印象、自殺に至る背景はなんだったのだろうか…。

五所川原に戻る列車、その途中でポツポツからザアザアに見舞われる。仕方なく五所川原駅で約40分、雨宿り。こんな時は待合室のストーブがありがたい。雨も上がり「サンルートホテル」にチェックイン。個室にバストイレ付きは快適だ。今夜はネットで調べた居酒屋で日本酒をちっとんべぇづつ、あれこれいただく。ウィ、染みるねぇ〜。明日は、青森と八戸で時間調整と下車観光を兼ねて経由、久慈へと動く。

じぇじぇじぇ。NHK朝ドラ「あまちゃん」の舞台、久慈は人口34,400人余の三陸鉄道始発の地方都市。もちろん夜は地元オヤジがくだまく赤提灯に吸い寄せられた。炉端でカウンター、いい雰囲気の「寿々㐂」。高齢だが腕は確かな大将、鈴木さんの店だ。旅行中、深酒で体調や信頼を壊してもいけない。ビールから焼酎お湯割り、日本酒にはブレーキをかけるのであった。

釜石への移動日。ホテルから歩いて5分、道の駅で発車時間の調整。館内には「3・11」の被災パネルも展示、改めてあの惨状に鳥肌が立つ。3,050円の片道フリー乗車券を買って全線開通した三陸鉄道の旅がスタート。実は3泊目、久慈の先、堀内駅の民宿泊が本命だったが「あいにく満室で」と袖になった経過がある。沿線の中でも絶景の評が高く、出来れば再チャレンジしたいところだ。来年3月で丸10年を迎える東日本大震災。三陸沿線に次々展開される開発された新興住宅地、海を隠すよう高く築かれた堤防。心を痛めずにはいられない。

途中の宮古で下車。向かい合わせの4席を独占、靴を脱いで足を伸ばした状態でも1時間半ほど列車に揺られればケツも痛くなる。固まったバディを動かし、この先の釜石までの血流確保と腹ごしらえ。ここは久しぶりに中華、タンメンでエネチャージだ。宮古から約1時間半、「鉄とラグビーの街」釜石に到着した。予約したホテルは駅から15分、AEONモールにも程近い繁華街のど真ん中。久慈と同じく「GoTo」の恩恵で宿泊代が割引き、1,000円の岩手県内クーポンも貰えた。気を良くして地元人気店「よしよし釜石」を訪問。しかし、「すいません、カウンターは予約で」と若店員。仕方なく部屋呑みの図と相成る。昨今のホテル事情、コロナでバイキングはご法度。朝メシは箱弁方式で提供されたが、食材と料理はしっかりしたものだった。美味しい。

最終の16日、釜石から遠野へ向かった。山間をゆっくり進む釜石線沿には一足早く紅葉が広がる。初となる遠野、駅から「かっぱ淵」までレンタサイクルを30分、踏ん張る。あいにくかっぱは留守だったが里山の晩秋、伝承園の爺様と婆様が四方山話しで迎えてくれた。花巻を経由して盛岡へ。早割予約した新幹線「はやぶさ」で盛岡から仙台そして大宮と最速で帰って来た。